いそのたかみ@鷹巣堂のアナログゲームブログ

同人ゲームの制作・販売を行なっている鷹巣堂のブログです。

古代ローマの新しいゲームを買いました

第三のゴリラの売上が非常に好調なので、うっかり新しいゲームをポチッとしてしまいました。

古代ローマの新しいゲーム 日本語版

古代ローマの新しいゲーム 日本語版

  • メディア: おもちゃ&ホビー

ずっと前から欲しかった、ライナー・クニツィアの「古代ローマの新しいゲーム」です。
わたしはクニツィアのゲームが好きで、特にバトルラインやモダンアートなどのほとんどアブストラクトにも似たシステム、偶然の要素を極力排除して、唯一自分の頭の中にあることだけが相手にとっての不確定要素であるかのようなゲームが大好きなんです。

これには14ものゲームが収録されているのですが、若き日のクニツィア博士が考案したアイデアの原石のようなものが多く、さらにそれを後年になって代表作へと進化させているとのこと。
言ってみればこれは天才ボードゲームデザイナーの草稿集のようなものなので、自分のゲーム作りの刺激になればと思って購入してみました。

ローマ七丘

とりあえず二人用のゲームをいくつか遊んでみたのですが、一番感銘を受けたのがローマ七丘でした。
場に並べた7つの丘に手札の1〜9の数字を裏向きに置いていき、数字の合計が多いほうが勝ちというルール。
バトルラインはカードをポーカーのような役を作って強さが決まるのに対し、原型となったこちらは数字の合計だけという非常にシンプルな仕組みですが、これがなかなか面白い。
裏向きに出したカードは、同一の丘に相手のカードが出された時点ですべて表になるので、いわば”斥候”の役割をする数字の1のカードがかなり重要な役割を果たします。

そこで気がついたんですが、わたしの「銃・病原菌・ダイヤモンド」は「ローマ七丘」とよく似ているんです。

bodoge.hoobby.net

バトルライン」とはぜんぜん違うゲームなのですが、「ローマ七丘」はルーツと言ってしまっていいくらい似ていることに感銘を受けました。

「銃・病原菌・ダイヤモンド」は鉱山ごとに点数が決まっていたり、引き分けた鉱山の点数が加算されていったり、お互いのカードを5枚出し終えてからオープンにするなどなど、異なる部分はたくさんあるんですが、なんだろう、根本にあるクニツィア魂みたいなものが通じ合ったのかな。

ハンニバル

これも非常にクニツィア的な戦略ゲーム。
戦争の勝敗は出した手札の数で決まるのですが、お互いにもっている1〜5のカードは一度出してしまうと全部使い切るまで手元に戻らない(補充しない)ので、最初はどちらが勝つかが分からないものの、戦いが進むにつれて「勝ち確」が見えてくるところに面白さがあります。
たとえばコマを何個も並べた大軍団だけどいざ戦いになると弱いカードだけ出せば見せかけだけの囮になるし、1つのコマだけで敵陣奥深くまで侵入して強いカードを出して一騎当千の活躍をしてみせることもできます。
とはいえ、カードを出し切って手札がリセットされるといつまでも勝ち続けることは難しく(引き分けは両方のコマが消滅)、かなり頭を悩ませることになります。

元老院

元老院は4×3の12マスの中に、自分の手札の強いカードをなるべく中央に押し込むというシンプルなルールながら、相手がどこから攻めてくるのかなんのカードを最初に出していくかが難しく、これもかなり悩まされるゲームでした。

運に頼らないゲームを作りたい

14のゲームのうちのまだ3つしか遊べていませんが、どれもシンプルかつ切れ味鋭いゲームとなっていて、かなり刺激を受けました。

個人的に気に入っているところは、ダイスを使わないところですね。
自分はダイス運がないのでダイスの目で何かが決まるゲームは苦手なんです。
たとえば6面ダイスでも、そのゲーム中に1が出る確率は1/6じゃないですよね。限られた試行回数だとかならず偏りが出る。
一方で、1〜6までの数字が書かれた6枚のカードから1枚抜いて1が出る確率は正しく1/6だし、一回1が出たら次からは1が出ない、その方がフェアじゃないかな、と思います。

それは完全に人の好みでダイスが好きという人も多いとは思うんですが、こと自分が作るものに限っては自分が好きなように、ダイスを使わないゲームを自由に作れるというところが、ゲームデザインの楽しみのひとつなんじゃないかな、と思いました。

お題「#おうち時間